「こうありたい社会」のモデルを目指す

 福岡県全域で組合員への宅配事業を主に行う『エフコープ生活協同組合』。より良いくらし、より良い社会を実現するという生協の理念に基づき、自社生協だけの処遇改善ではなく、これからの日本における働き方・雇用制度のモデルのひとつとして実践したいと考え、2001年から制度改革に着手。雇用形態ごとの評価制度、賃金制度、福利厚生制度を統一するために労使が話し合いを重ね、従来の仕組みの課題や疑問点を一つひとつ解決しながら時間をかけて改革を進めていった。

メリットも生まれ、活性化

 2008年から雇用形態を統合し、実力主義による評価制度を取り入れたことにより、中途採用者の採用数や定着率が向上。2017年からは、70歳までの雇用制度をスタートした。職員の状況に応じて人事異動を行い、それまでの業務の知識や経験を持つ60歳以上の職員が新たな職場で働くことで、新しい視点やアイデアがもたらされ、職場内が活性化するメリットもあった。これらの改革により、職場運営の安定や宅配利用者の満足度アップという効果があり、結果として経営利益の向上へと繋がった。

改善カード画像
組織風土・業務効率・職場環境の改善を目的とした「カイゼン活動」を推進。職員自ら「カイゼン提案カード」を提出する。

改革1 「同一労働同一賃金」の人事制度に改定

 仕事の大きさ、能力が同じならば職員・パートなどの雇用形態に関わらず「同一労働同一賃金」となる評価制度・賃金制度・福利厚生制度に改定。労使で話し合いを重ね、合意の上で進めた。

改革2 雇用形態を統合し、公平な評価制度を導入

 賃金形態が異なる正規職員と宅配専門スタッフを統合し「フルタイムスタッフ」として制度を一本化。実力主義による評価制度で、公平な昇進・昇格・昇給が実施され、職員のモチベーションアップと定着につながった。

改革3 定年を7 0 歳に延長

 職員の就労ニーズへの対応、急速に進行する人手不足の解消を目的に定年を延長。70歳まで働き続けられ、雇用し続けられることを重視し、健康面や介護等の諸事情に対応できる短時間勤務を選べるなど、働き続けられる環境を整えた。

常勤理事 島崎 安史さん(左)、若松支所 竹林 一廣さん(右)の画像

常勤理事 島崎 安史さん(左)

 大規模な雇用制度改革だったため、説明会を開催し、職員やパートの不安や疑問に時間をかけて一つひとつ丁寧に向き合いました。これからも職員と職場が共に歩んでいける組織でありたいです。

若松支所 竹林 一廣さん(右)

 本部の商品企画・開発の仕事から、60歳以降の現在は夕食宅配業務に変わりました。仕事が全く違って初めは戸惑いましたが、今はやりがいを感じています。働き続けられる安心感も大きいです。