まずは意識改革から!
会社の経済状況が厳しい中で経営者に働き方改革を働きかけた際、時間外勤務手当や、社員の離職によって人材確保・育成にかかるコストなど、 改革しない場合のデメリットを伝えた。
会社の経営方針として残業ゼロ、年次有給休暇取得100%を朝礼で呼びかけている。
部署・階層横断でプロジェクトチームを立ち上げ、業務の見直しや働きやすい職場環境づくりについて協議している。
無駄な時間を削減!
会議は勤務時間内に設定し、本当に会議をする必要があるのか、メールや回覧で済ませられないかを基準に、無駄な会議を削減。セッティング時に会議の「ゴール」を明確にすることをルール化。
決裁にかかる手間など、事業運営や業務の効率化を図るため、組織運営のあり方を再検討し、決裁権限の見直しを行った。
日中の現場業務終了後に事務処理業務を行っているため、業務時間内に30分以内で終われるよう文書作成を必要最小限に絞り、チェックリスト方式で行えるようにした。
時間あたりの売上高など、部署として効率的な業務遂行を評価する「組織業績評価指標」を設定。クリアすれば部署メンバーへの一時金などに反映して、部署全体での長時間労働の抑制意識を図っている。
日頃行っている業務について、必要かどうかを改めて検討し、不要なものは廃止。必要なものは平準化・再分配するなど業務の棚卸しを行った。
課長職のプレイヤーとしての仕事と、マネージャーとしての仕事の役割を決めるための業務の棚卸しを行っている。課長職が行うべき業務を優先し、上司や部下に一部の業務を振り分けるなどして業務負荷の軽減を図るようにしている。
最短距離で成果を出す!
内部の会議に使う資料については、作成に時間を取られないよう、普段現場で使っている工程表などを流用して会議に使用するようにした。資料作成にかかる無駄な時間とコストを削減。
エクセルの使い方やコピー機でPDF変換する方法など、些細なことでも知っているだけで作業効率が上がるヒントを集めた冊子を作成。配布・活用に努めた。
社内では当たり前になっている業務プロセスで、改善の余地があるものを洗い出すために、外部コンサルタントに調査分析を依頼。客観的な指摘で社員の固定概念が払拭され、自発的な改善提案があがるようになった。
人材が育つ仕組みづくりのヒント
全職員が在職期間を通じて、1冊のキャリアファイルを持ち続け、キャリアの履歴や研修の参加履歴、会社の目標から落とし込んだ個人目標の管理を行っている。さらに年2回、個人目標シートと自己考課表を使った上司面談を通じて、職員それぞれの目標達成度や自己成長を公正に評価する仕組みづくりを推進。
業務にかかった時間ではなく、効率的に成果を出せたかが重要だと認識してもらうために、人事評価項目に「時間当たり成果」を加えた。
管理職自身の考え方やワークスタイルが部下の働き方や休み方を左右するため、管理職研修を実施。事例研究やグループワークなどを通して、意識改革はもちろん、自身を含めた社員の働き方・休み方改善などマネジメント力向上を図っている。
社員の働き方は管理職によるマネジメントの影響が大きいため、管理職の人事評価に本人と部下のワーク・ライフ・バランス管理項目を組み込んだ。さらに、経営者からも働きやすい職場づくりへのメッセージ配信を行ってもらい、意識づけを強化している。
責任感があり、能力が高い社員に業務上の悩みを相談できるメンター制度を導入。メンターとなる社員は、管理職候補としてマネジメント能力アップを図ることができる。
モチベーションアップ!
従業員とパートタイマーで処遇や勤務内容に差がある中では、仕事に対する意識の差が出るため、同一労働同一賃金制度を導入。正社員の月給を日割りにした額を基準にしてパートタイマーの時間給を上げ、労働時間に関わらず全員を社会保険の加入対象にした。さらに、リーダーや管理職の日常業務を現場の全員が交代で担当できるよう「日替わり制度」を考案、従業員のリーダーシップ発揮につながっている。
先回りして備える!
自社で働き方改革を推進しても、顧客からの急な発注対応や要求などに変化がなければ成果をみないため、トップから顧客に、十分なスケジュールの確保や課題業務の発生防止を働きかけてもらうようにしている。
誰が休んでも会社がまわる!
書類は原本を共有棚に保管し、コピーは使用したらすぐ廃棄。誰もがどこに何があるか分かるよう整理整頓を徹底し、情報は社内共通のサーバーに保存して共有できるようにしている。
誰もが同じ作業を行えるよう、マニュアル作成と業務のローテーションを積極的に行っている。※多能工化とは…組織の人材を多能工として教育・訓練する仕組み。1人で複数の異なる作業や工程を行う技術・技能を身につけた作業者を多能工という。その社員でなければできないような業務は、長時間労働や休暇が取りづらいなどの状況を生む。
スキルや経験の異なる先輩後輩をペアにした営業体制にし、目標数字も2人で折半。どちらかが休んでもお互いフォローでき、分担作業や補い合うことを通して個々の能力も高まる。
固定概念にとらわれない!
パート向けに、9〜17時の間で都合のよい時間帯に出退勤できる自由出勤制度を導入。
①6時間以上7時間30分以下、②4時間以上6時間未満、③4時間以下の3パターンの勤務時間を設定。
病気治療や子どもの教育など多様な理由で利用でき、1年単位で選択できる。
働く場所に縛られない!
時間や場所にとらわれず柔軟に働けるよう、チェックリストによる必要度を満たす社員にモバイルパソコンを支給。営業職の直行直帰やテレビ会議なども導入している。
会社以外のオフィススペースに、会社専用の社内LANを整備。郊外にオフィスを設けることにより、通勤にかかる時間やストレスを軽減している。
「会社で業務する場合と同等の成果が出せること」を必須条件に、在宅勤務を導入。始業・終業のメールを上司に送付し、1日の業務内容を報告することをルールとしている。
在宅勤務による仕事の結果を適切に評価するために、新たな人事評価制度を導入。在宅勤務者に、会社が期待する成果水準を予め提示し、自身の目標を設定してもらう。また、日々の報告・連絡などで、部下が十分に自分の業務内容を計画・遂行しているかのチェックを行い、目標との間にギャップがあれば、それを埋めるための振り返りを行っている。
ユニークな制度や支援!
勤続5年を迎えた社員には2日間の休暇と旅行代金5万円、勤続10年を迎えた社員には5日間の休暇と旅行代金10万円が付与される。
遠距離介護をする社員の負担軽減と、キャリアを積んだ社員の離職を防ぐため、両親が要介護認定されている社員に、帰省費用を補助する制度を設けている。
メリハリのある働き方を!
年休を5日間+土日と合わせて計9日間休んでもらうよう促進。全員が計画的に休暇を取るため、担当以外の業務も把握するようになり、お互い様の意識が生まれ、チームワークも高まっている。
社員の計画的な年休取得のために、四半期ごとに所属長に提出し、承認を受ける「年休取得計画表」の作成を試みている。社員の見える場所に全員の計画表を掲示することで、休みを念頭において仕事を進めるようになり、仕事に対する意識が変化した。
プロジェクト進行中は休みを取りづらいため、終了後に連続5日の休暇を取得するよう「プロジェクト節目休暇」を導入した。
春先が繁忙期と分かっているので、それ以外で年休の計画的な取得を促し、少なくとも全社員が3連休を取得できるようにしている。
ライフスタイルに合わせた支援!
それぞれの対象者に必要な知識を学べるセミナーを実施した。同時に、介護や子育て、病気治療と仕事を両立する際に「こんな制度があったら」といった社員のニーズをヒアリング。今後起こり得るリスク対策に活かしていく予定。
ヘルパーの手配ができるまでの数か月間を休み、手配が整った後に復帰するなど、突発的に家族の介護が必要になったときでも対応できるよう、介護休業期間(2年)を分割取得できるようにした。
失効する年次有給休暇を60日まで積み立て、特別の事由がある場合に利用可能。
社員が子連れでも仕事できるよう、会社内に育児コーナーのスペースを設けた。ベビーベッドなどの備品は社員が自宅から持ち寄り、社員が協力して子どもを見ている。
雇用形態に関わらず、子連れ出勤を認めている。子どもはデイサービス施設の利用者と遊んだり、食事したりして過ごしている。
月2回・半日単位で取得できる治療休暇(病気休暇)制度や、年次有給休暇の時間や半日取得、負担が少ない部署への異動、メンタルヘルス相談など、仕事と病気の治療を両立できる支援制度を設けている。