柔軟な勤務体制で継続就労が可能に

 嘉麻市で特別養護老人ホームや介護老人保健施設などを運営する『社会福祉法人 ひまわり会』。創業時から職員を大切にする風土があり、女性職員が多いため結婚や出産・育児を経ても働ける仕組みづくりを行ってきた。勤務時間帯の変更、時短勤務やパートへの移行など個人に合わせて柔軟に対応。パートから正社員に戻る際には、これまでの勤務期間などを評価の対象にするなどし、やる気が出るような制度にした。結果、出産・育児などを理由とした離職者はゼロに。次の段階として増えてきた男性職員も含めた、全ての職員が働きやすい職場環境の整備を目指した。

安心して働き、学べる環境を作る

 特徴的なのが新入職員に指導担当が付くこと。同性で年齢の近い先輩職員が担当するのは、仕事の悩みなどを話しやすくするためだ。このことで新卒の定着率が向上。また、施設内学習会や新人職員・中堅職員研修、介護福祉士の資格取得のための奨学金制度などスキルアップの機会を設けている。介護という仕事柄、「休みも取り、健康な体で働いてほしい」との考えは職員にも浸透し、休暇を取っても職員同士が「お互い様」でカバーする体制と心の余裕ができている。

職場の様子画像
チーム制度の効果により、毎日の申し送りがスムーズになった。

改革1 チーム制度でフォロー体制を充実

 若手とベテランの混合で5人チームを作り、1チームで入所者の居室3~4部屋を担当。月1回のミーティングで利用者介護の反省・改善点を共有した。後輩への指導や世代を超えた意見交換が活発になり、チームワークも向上。シフトの融通が利くので休暇も取りやすくなった。

改革2 有給休暇の完全取得のために、制度を工夫

 有給休暇は希望の日に休めるシフト組みを実践。急用があれば当日の申請でも休みが取れるようにした。また休むことに抵抗のある職員に声がけを行うなど有給休暇取得を促した。

改革3 業務の切り分けで介護職員の負担軽減

 施設内の清掃は介護職員の仕事だったが、建物が広いため負担だった。共有スペースなどの清掃を外部に委託したところ、時間にも精神的にもゆとりが生まれ、施設利用者と関わる時間が増えた。結果、専門業務に集中でき、サービスが向上した。

施設長 野見山 桂子さん(左)、介護職 阿南 勇気さん(右)画像

施設長 野見山 桂子さん(左)

 職員同士でコミュニケーションが取れていることが、業務改善や休暇の取りやすさにつながっていると思います。働きやすい職場として、男性介護職が増えているのは嬉しいことです。

介護職 阿南 勇気さん(右)

 手厚い人材育成制度が魅力です。勤続5年目ですが、チーム制での働き方は勉強になります。資格のための研修は勤務として認められ、取得費用の補助もあるのでスキルアップを意識するようになりました。