取組のきっかけ
北九州市で電気工事業で社会基盤づくりに取り組む「異島電設株式会社」では、社員の産休・育休をきっかけに働きやすい職場環境作りを推進。業務をお互いにどうカバーするかなど働き方に対する意識が高まり、男性社員で育児休暇を取得する社員も生まれた。その結果、「北九州市女性活躍・ワークライフバランス表彰 奨励賞」や「経済産業省健康経営優良法人」など様々な表彰・認定を受賞。
その一方で、現場社員の時間外労働が多く長時間労働の是正の取り組みを継続して進める必要があると考え、働き方改革に向けた取り組みを進めている。
現時点で認識している問題意識
・現場社員の時間外労働が多い。
現場社員の時間外労働の多さは建設業界全体の課題ではあるが、その中でも電気設備工事は完成前の施工が多く、建築のしわ寄せが発生した場合自社だけでの対策では改善できないことも多い。 また、ノー残業デー等の実施も計画通りに実施するのは難しい。
その結果、現場責任者は、担当現場が終わるまで有給休暇や休日の予定も直前になるまでわからない時がある。
取組のテーマと解決策
<現場社員の長時間労働を是正する、内勤社員のサポート体制強化>
・現場社員の時間外労働について
⇒長時間労働の是正を継続して進める。 工程管理をしっかりし、休日の予定を立てやすくする。
<課題に対する解決策>
・比較的時間外労働の少ない内勤社員 (設計(兼営業)、事務)と 現場社員の連携強化
⇒コミュニケーションが円滑になれば情報共有も進み、 少しでも手伝えることが出てくる。
取組内容
比較的時間外労働の少ない工務部門内の育成(特に若手社員)強化
⇒勤務時間も意識しながら、遠隔の現場で作業する若手社員のフォローを効果的に行うために、現場の様子を画像や動画で送ってもらい、それを見ながら指導する等方法を検討する。
工務部門と現場社員の連携強化
⇒資材の運搬漏れを防止するため、現場で必要な在庫を運搬者が確実にチェックする方法を検討する。また、部署が2階と3階に分かれている工務部門と現場社員の コミュニケーションが円滑になる方法を検討する。
取組結果
・資材の運搬漏れを防ぐ⇒運搬漏れを防ぐ方法も工務課で検討し実践。準備の漏れはなくなった。
・工務課と工事課のコミュニケーションをより円滑にする⇒退社前に電話で声掛けするなどルール化し、少しずつコミュニケーションを取り始めている。
・若手社員のフォロー体制を強化する⇒スマートフォン導入により、情報共有のツールとして運用開始。これからフォローにも活用していく。
・改革推進会議の実施⇒メンバーから出ていた6つの課題に対して、解決策を検討し具体的な取組準備中。
今後の取組
・資材運搬漏れ防止⇒引き続き漏れのないチェック体制を維持し、生産性向上につなげる。
・現場のコミュニケーション⇒工程表等の共有もできるようにし、業務の見える化を進める。
・スマートフォンを若手社員のフォローや現場との情報共有ツールとして活用し、生産性向上につなげていく。
・改革推進会議⇒月1回進捗状況を確認し成果を認識すると共に、メンバーを入れ変えて会議を継続。
モデル企業から一言
・モデル企業として、どこまで改革が進むだろうかという不安があり、具体的な数値目標を立てるイメージも持てなかったが、アドバイザーより、『単なる数値目標より行動し変化を実感していこう』と言ってもらい、自分達にできることを少しずつ取り組んできた。
・工務部門内の取組から、全部門による改革推進会議が立ち上がり、経営側のサポートのもと、参加者全員の発言を意識した運営により、前向きな改革テーマが出てきたことは大きな収穫であった。
・業界全体の課題として長時間労働是正に取り組まないといけない中、改革への道のりは決して明るいものではないが、近い将来ノー残業を成功させられるよう、まずは業務の見直しを着実に進めていきたい。