取引先の理解を得て営業日を調整

 工事現場の足場等の建設用機材レンタル事業を行う『拓新産業』。新卒者対象の合同企業説明会で、学生が一人も自社ブースを訪れなかったのが働き方改革のきっかけだった。魅力ある企業になるために「働きやすい環境」が求められていることを実感し、徹底した職場改善に着手。社長の本気度を示すため、自ら社員に改革を呼びかけた。
 取引先にこちらの要望を伝え、理解と協力を得ながら営業日を調整し、理解が得られた企業とのみ契約し、残業ゼロ、有給休暇取得率100%、完全週休2日制、休日出勤なしが実現。更に、女性社員の育児休業取得率100%も達成した。

新卒に選ばれる人気企業に

 「働きやすい環境」を保ちながら利益を上げられるのは、徹底したコスト削減と1人が複数の業務をこなすことができるように努めているためだ。多少売り上げが落ちても利益を上げ、創業以来、連続黒字経営を維持している。社員の働きやすさを最優先に考えて改革に取り組んだ結果、今では、新卒採用2~3人枠に対して、毎年数百倍ほどのエントリーがある人気企業となっている。

業務の様子画像

改革1 社長自らが呼びかけ、改革の本気度を示す

 改革を行うにあたり「周知徹底」を大切にしている。4か月に一回、有給休暇の消化が悪い人をリストアップし、休みを取るよう継続して呼びかけ、休みやすい環境を作ったり、上司が帰らないから帰りにくいといった悪い慣習を断ち切り残業ゼロにつなげた。

改革2 取引先に理解と協力を得ながら営業日を調整

 工事現場を訪問し、要望を伝え、理解が得られた企業と契約することで完全週休2日制を維持。顧客の満足を維持できるよう、交代で月に一回土曜に出勤するが、その分代休を取得する。社員が自主的に業務改善、簡素化を行い、時間内に終わらせる努力を行うようになった。

改革3 徹底したコスト削減

 大口顧客に固執しないなど顧客戦略の見直しや、交際費・電気代・交通費など項目ごとに経費の担当を決めて無駄を削減。育休社員のために人数に余裕を持たせる分、徹底してコストを削減し、売上げが落ちても利益を出せるようにしている。

藤河 次宏氏(右)、溝口 有希さん(左)

代表取締役社長 藤河 次宏氏(右)

 時間内に業務を終わらせるという目的意識を明確にすると、社員が自主的に優先順位や簡素化を考えるようになりました。
 改革の本気度を社員に示し続け、約3年で制度を浸透させました。

総務部 溝口 有希さん(左)

 抵抗なく育児休業や有休休暇が取得できる環境です。復帰後、時短勤務をお願いしたり、子どもの病気等で急な休みや連続した休みを取ることもありましたが快く受け入れてもらえました。