産休・育休を正規従業員が代替

 オリジナルの和木綿素材を使った綿入れ袢天や婦人服を展開する『宮田織物』。女性従業員が多数在籍しており、結婚、出産を経て退職という流れに長年悩まされていた。そこで、産休・育休制度や短時間勤務制度の利用を奨励し、その間の代替として正規従業員を新しく雇用した。産休や育休の代替は期間限定であることが多いが、長年の技術と経験が問われる手作業の工程が多い同社では、あえて正規で採用する。雇用の安定性から従業員は技術取得に集中でき、技術を習得した従業員に働き続けてもらうことが企業のメリットになる。休職した従業員は、復職後はもとの部署に戻って勤務できるため、長く働き続けられる環境が整い、悪循環を断つことに成功した。

業務に効率性が生まれ業績アップ

 短時間勤務制度を利用している社員が所属している部署では、短時間で業務に集中して取り組むため、効率性が上がり、以前より業績が上がっている。また、資格を取得したら評価に取り入れる取組みも始動。縫製など、個人のスキルアップにつながる資格を取得している者を評価に反映することで従業員の意欲や能力の向上につながっている。今後は、評価の対象となる資格を更に増やしていく。

宮田織物の商品画像

改革1 「多能工化」で社員同士のフォロー体制を確立

 裁断・縫製・アイロン等、それぞれ役割分担を行っているが、自分の担当外でも隣同士の行程の業務を行う「多能工化」により、急な休みにも対応が可能になっている。

改革2 育休の代替には正規従業員を新たに雇用

 限られた期間のみでなく、育休中の社員が復帰してからも継続して勤務できるよう正規従業員を代替として雇用することで、従業員の定着率が向上している。

改革3 短時間正社員制度の導入

 通常8時~17時勤務のところ、育休から復帰した社員は、9時~16時で正社員として勤務できる制度を導入。
 短時間で集中して業務に取り組むため、同制度を利用している社員が所属する部署では売上げ前年度比140%を記録したことも。

吉開 ひとみ氏(右)、宮田 智氏(中)、原口 好美さん(左)

代表取締役社長 吉開 ひとみ氏(右) 
代表取締役会長 宮田 智氏(中)
 技術や経験が必要な仕事なので長く働き続けて欲しいと思っています。一人ひとりのモチベーションが上がるように、評価する資格を増やすなど、より働きやすくなる取組みを考えています。

統括部営業課インターネット担当 原口 好美さん(左)
 育児休暇を3回取得させて頂き、出産や育児をしながら働き続けることができています。復帰後は短時間勤務で働いており、短時間で集中して業務に取り組むため仕事効率が上がりました。